「戦後70年 安倍首相談話」
全文を読んで
思ったこと。気になったところ。
懸念は別なところに。

1,注目された言葉は入ったが・・・

8月14日、注目の【戦後70年 安倍首相談話」が発表された。
当初の予想に反して、いわゆる村山談話の【侵略】【植民地】【反省とお詫び】などの
文言が入った内容となった。

この件に対する評価は、人それぞれですが、私の読んだ印象は、
【100点以外にも、合格点があるとすれば、談話文はそのものは、十分、合格点】だと思った。
つまり、合格点が80点ならば、十分、合格点を超えていると思ったのだ。

こうした【談話】が出たのも、これまでの内外の批判や関心、世論の力の反映だと思った。

批判者が言う「事変、侵略、戦争」の主語が明確でないという指摘は、
文脈が違うのではないか、と思う。

2,「村山談話」は、【タンチョウツル】の【あたまの赤い毛

  この度、世間を大いに賑わした【談話】が【村山談話】。
  その中に、【侵略】【植民地】【反省とお詫び】が含まれて居るから
  それをひき継ぐべきだと言うことで、話題になった。

  しかし、【村山談話】って、何なのか。
  そもそも、村山首相というのは、【自・社・さきがけ」の3党連立政権の
  トップに担ぎ出された社会党の委員長で、その委員長の談話が、【村山談話】だったのだ。
  
  この【村山談話】は、3党の政権合意の【国会決議】の採択に基づいたものだったが、
  この国会決議は、与野党からの欠席者が相次ぎ、衆議院議員の半数だけの決議であり、
  参議院では、決議が見送られたと言うもの。 
  これは、法律上はともかくとして、日本の意思でも、国会の意思でも何ともなかったのだ。
  つまり、今【村山談話」と騒ぐほどの、【日本国】としての値打ちを持った【談話】ではなかったのだ。

  まあ、言ってみれば、タンチョウツルの頭が赤いのを見て、ツル全体が赤かったかのような
  こだわりが、【村山談話】だったと思って居る。だが、頭以外は、赤くはなかったのだ。
  
  つまり、【村山談話】は、実質上は、国会の意思でも、日本の意思でもなかったのだが、
  【言質】を取ったということで、なんだかんだと言われた(利用された)に過ぎない。
  だから、その後も現在まで、特に、自民党の政治家の言動は、【村山談話】に反するようなもの
  ばかりだったし靖国問題は、その典型だ。


3,重要な問題は他にある。

  (1)中国、韓国における反日教育と国内問題に絡めた政治利用

    中国、韓国における反日教育が、幼児期から行われていることは、
    周知の事実だ。この下地の上に、中国や韓国の政治支配が
    なされている。
    だから、日本が、どのように対応しようと、国内事情によっては、
    【日本の侵略問題」絡んで、政治問題化する。その構図は、基本的には、
    今後も変わらないだろうと言うこと。

    中国や韓国の政治指導者達は、この【反日教育】が、結局、自分に跳ね
    返っていくことに、ほとんど関心が無いらしい。
    今後、真に、日本との良好な関係を築こうとしたとき、【反日教育】された多くの国民を
    敵に回すという矛盾を抱えていくことになるからだ。

    私は、中国の江沢民国家主席が、【子々孫々まで、日本帝国主義への恨みを伝えて行く】と
    述べた発言を忘れない。

    彼は、(もしかしたら、中国の政治指導者は)、将来の【日中両国民】の将来の友好関係を
    どう作っていくべきかを、全く考慮出来ない指導者なのだという印象を強く持ったのだ。
    彼等は、他のアジアの政治指導者とは、かなり違うのだと思った。
     
    中国にしても韓国にしても、当面の【政治的利害】が、理性的見直しを
    妨げているのだろうと思う。

  (2)「靖国問題」が、中国や韓国に【口実】を与えている。

    今年の「70年 安倍首相談話」のあった翌日に、一部閣僚や与野党の
    政治家が、こぞって【靖国参拝】をした。
    この参拝自体が、日本国民から見ても、重大な問題をはらんでいるだけに
    これが中国、韓国の【政治利用】の口実になっている事が残念でならない。



    【靖国神社】問題は、【日本人にとっての重要問題】!
 

       終戦を遅らせた為に、原爆投下や日本本土空襲、ソ連参戦を招いた。
      この政治責任を負うべき(特に)軍人たちが、一般の犠牲者と一緒に
      祭られている。 それでいいのか?


     靖国参拝を正当化する国会議員達がよく言う【戦死者に対する尊崇の念」とは違う。
     そのレベルと質を遙かに超えた【戦争犯罪者】達が祭られている。

     靖国神社には、原爆投下や日本本土空襲・ソ連参戦を事前に防ぐことが出来たのに、
     敢えて、降伏を拒否し、「戦争を継続」、「本土決戦」を叫び、日本人に多くの犠牲を
     もたらした「戦争犯罪者」が多く含まれて居るのだ。

     だから、【靖国問題】は、中国や韓国にとってだけではなく、【日本人にとっての重要問題】なのだ。

     私は、靖国神社の「遊就館」に2度、参観した。

     第2次大戦に関する展示では、当時の新聞に多く掲示され【大本営発表」をそのまま、
     掲示し、無謀で、他国を侵略し、多くの人達を殺し、日本の若者達が犠牲になった事への
     反省や教訓を全く引き出していない。

     むしろ、また、「戦争をやろうとしている」かのような印象を強く持った。
     それが、「靖国神社」なのだ。

     それだけに、中国や韓国にとっては、【靖国神社」は、現実問題として、心情的にも、
     政治利用的にも、重要な意味を持つのだろうと思う。

     それを敢えて、挑発するように、国会議員の【靖国参拝】は、しかも、つるんで、やっている姿は、
     許しがたいことだ。


4,余り触れていない【安倍談話】の問題点。

  私が目を通した限りでは、新聞でも、ほとんど触れていない問題が、
  次の文言だ。

  「あの戦争には、何ら関わりのない私たちの子や孫、その先の世代の
   子ども達に、謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません。


 そうだろうか? 少なくとも、今の時点で、政治指導者が言うべきことだろうか。
 つまり、【お前達には関係がないから、謝らなくとも良い」と言う主張や教えが、
 正しいのだろうか。 
 【自分が直接手を下さなくとも、申し訳ない】と感じる心を否定してしまいかねない発言。
 被害者の孫が生きている時代に、そんなことを言うことが、【反省とお詫び】につながるのだろうか。