彼等は、学識経験者か? |
敬語の「間違い使用」に触れたついでに、同じく以前から気になっていた安平町が
使っている用語の使い間違いをもう一つ指摘しておこう。
彼等は、「学識経験者か?」
安平町が、外部から意見を聞くために、集めた人を「学識経験者」と呼んでいます。
随所に、そう書いてあります。しかし、これは言い過ぎと言うより「明らかな間違い」です。
「学識経験者」というのは、「専門領域の学問で評価を受け、豊富な経験と高い
見識を持つと社会的に認められた人。」とある人のことです。
「学識」とは、学問的専門性を有した人という意味だ。
たとえば、地震や火山に関して広く意見を聞こうとした場合は、専門家が集められるが、
そうした時の彼等は「学識経験者」なのです。
この定義で肝心なのは、「専門領域の学問で評価を受け」という定義です。
簡単に言えば、大学の教授クラスの人、もしくは、それ同等の研究者を言うのです。
まあ、確かに、大学教授、同等の研究者が、いつも、必ずしも、「高い見識を持つと
高い評価」を受けるかどうかは、これまた別な話ですが、少なくとも、「専門領域の
学問で評価を受けて」いることだけは事実でしょう。
この安平町で、「専門領域の学問で評価を受けて」いる人って、
何人おりますか? 私が知っているのは、一人だけです。
ですから、今まで、「学識経験者」として安平町が町民に示した人の全員は、(たぶん)
「学識経験者」ではありませんね。
職業人として豊富な経験を持ち、一定の見識を持っている人は、たくさんいるでしょう。
大学を卒業し「専門領域」の勉強をした人もそれなりにいるでしょう。
しかし、彼等を、それだけで「学識経験者」にしてしまうのは、いささか、見当外れで
認識不足というものです。
本人達も正式な意味を知れば、おこがましいと感じ、羞恥心に駆られるでしょう。
校長経験者だから「学識経験者だ」と言うのは、これまた、見当違いです。
彼等はみんな「学識経験者」ではありません。
個人的には、高校の校長でドクターを持っている人を一人知ってますが、
安平町に住む小中学校の元校長たちでドクターを持っている人がいるとは
聞いたことがありません。
重ねて言いますが、「学識経験者」たるためには、、「専門領域の学問で評価を受け」て
いる事が必要です。つまり、大学教授クラスの専門性が求められます。
その意味で、「学識経験者」として、町民に紹介されている人達は、(私が目にした人達は)
全員、「学識経験者」ではありませんでした。
「学識経験者」は「有識者」に呼び変えた方がいいでしょう。
では、彼等をなんと呼ぶのが正しいのでしょうか?
答えは簡単です。
「有識者」と呼べばいいのです。
もともとは、「有識」とは過去の先例に関する「知識」を指し、根拠・規範の類を指すそうです。
「有識者」とは、そうした知識・根拠・規範に通じた人を呼んだのだそうです。
必ずしも「高い見識」を求めたものではありませんし、「専門領域の学問で評価を受けて」いる必要も
ありません。
そうして、見てみますと、町報等で公表された面々は、「先例」に関する「知識」や根拠」に
詳しそうです。
町が、そうした人達から、意見を拝聴することは、意義深いことです。
従って、今現在、「学識経験者」として町の審議会や外部評価委員会やその他で命名されている
こうした名称は、「有識者」と変更した方がいいでしょう。
因みに、昔は有識者(ゆうしきしゃ)を「ゆうそくしゃ」と呼んだそうです。