議会答弁における
       「ございます」症候群

  敬語の使い方がおかしくないか?

1,課長等答弁の変な敬語

先日、久しぶりに議会の録画(予算審査特別委員会)を見た。
やっぱりと思うことがあった。
答弁に立つ役場職員の敬語の使い方が、あちこちでおかしいと思ったからだ。

「ついにそこまでケチをつけるのか」と言われそうだが、我慢も限界に来ているのだから
仕方が無い。

思えば、明らかにおかしいと思われる「敬語」を、この10年間、聞かされてきて、
少々(実はかなり)辟易(へきえき)していたのだから。
しかも、少し前に、あるところで退職者の元課長の挨拶を聞いたら、役場時代の
間違った「敬語」を例によって聞かされて、うんざりした。
気取って言っているつもりはないのだろうけど、誰からも指摘されないから蔓延して
きたのだろう。


2,「敬語」の意味は中学校の時に習ったはず・・・

「敬語」には、尊敬語、謙譲語、丁寧語があると、中学校の国語の時間に習った。
高谷初枝という国語の担任から習った事を覚えている。
約60年も前の話だが。

ここで取り上げたいのは、「ございます」と言う敬語だが、これは「丁寧語」になる。


,今までも気になっていた議会答弁における敬語(丁寧語)「ございます」の数々

改めて、3月議会の予算審査特別委員会における「ございます」の使い方を以下、示してみる。
因みに、これらの事例は一つの答弁の「ほんの一部分」を切り取っただけの事例である。
全部上げたら膨大な数になるだろう。

たとえば、「ほんの一部分」とは次のようなものだ。

「聞いてございます。」「予算を取ってございます。」「行(おこな)ってございます。」「委託してございます。」
「なってございます。」「考えてございます。」・・・・・・・・・多数。


「おかしい」と思いながらそのままにしてきたが、改めて調べた結果をお知らせしよう。
因みに、私は国語の教師ではないので、説明に疑問に思う方は、自分で調べるなり、
国語の教師に聞いてみると良い。


4,「ございます」は、動詞、又は補助動詞として使われる「ある」の丁寧語であるが
  「いる」の丁寧語ではない
  
以下、事例は、インターネットによる

(1)「ある」の丁寧語としての「ございます」は、OK

  (例)
   ① 「隣の部屋に食事を用意してあります。」・・・・「隣の部屋に食事を用意してございます
   ② 「案内図は、次のページに書いてあります。」・・・・・「案内図は次のページに書いてございます。」
   ③)「資料があります」・・・「資料がございます
   ④「おあつらえ向きのお品があります」・・・・・・・・「おあつらえ向きのお品がございます
   ⑤ 「何もありませんが、どうぞ」・・・・・・・・・・ 「何もございませんが、どうぞ」

(2)いる」には、「ございます」は使えないNOです。

【誤用パターン】「いる」⇒「ございます」にできない

      《「ございます」の誤用例①》
          × 「手厚い補償内容になってございます」
          × 「書類はこちらに入ってございます」
          × 「すでに品物は到着してございます」
          × 「あちらのお席が空いてございます」


いずれも「ございます」を、「いる」の謙譲語「おります」に直さなければならない

   なっている・・・・・・・なっておりま
   入っている・・・・・・・入っております
   到着している・・・・・到着しております
   空いている・・・・・・・空いております

         ※インターネットでの説明によれば、「ある」の丁寧語は「ございます」で
          「いる」の謙譲語が「おります」とのことになる


 改めて、安平町議会(6月議会)での答弁事例を見てみよう。  

  ①「「聞いてございます。」 ②「予算を取ってございます。」 ③「行って(おこなって)ございます。」
  ④「委託してございます。」 ⑤「なってございます。」 ⑥「考えてございます。」・・・・・・・・他多数。

これらは、6月議会で答弁者が使った「ございます」の例であるが、いつの議会でも、
この「ございます」は、繰り返し使われてきている。
わたし的な言い方をすれば、役場職員の「ございます症候群」とでも命名すべき事だった。


「議会答弁の事例」とインターネットで示した様々な「間違い事例」を比べれば、その間違いははっきりします。


安平町議会での間違い(?)答弁事例(文脈から判断して)

  ①「聞いてございます」は、・・・・「聞いております。」が正しい。
  ②「予算を取ってございます」は、・・・・「予算を取っております」が正しい
  ③「行ってございます。」は、・・・・「行っております」が正しい
  
委託してございます。」は、・・・・「委託しております」が正しい
  ⑤「なってございます」は、・・・・「なっております」が正しい
  ⑥「考えてございます。」は、・・・・「考えております。」が正しい。


因みに、ここに述べた、「おります」というのは、謙譲語で、立派な「敬語」になるとのことだ。
                                   (昨日、「尊敬語」とあったものを「敬語」に訂正)

     

ございます」の高校時代の思い出

高校時代の思い出だ。
私は小樽の出身だが、高校生当時、市内を走っていた中央バスは、今のような
ワンマンバスではなく、バスガイドが添乗し、停留場ごとに客の乗り降りを確認していた。

ガイドさんは、停留場が近づくと「次にお降りの方はございませんか?」と言っていたのだ。
子どもの頃から聞き慣れている言葉だったから、特に気にしていなかったのだが、
高校の時、ある国語の教師が、「ございます、と言うのはおかしくないか?」と授業で生徒に
質問したのだ。

国語の教師曰わく。
「ございます」というのは丁寧語。自分に関することで、相手に対して丁寧に言う言葉。
客に(相手に)対して使うのだから「いらっしゃいますか」という尊敬語を使うのが正しい。と
言ったのだ。
その時、なるほどと「合点」したわけであるが、同時に、「そのことを直接バス会社に言えば
いいのに」と思った記憶がある。



最近のとってもいやな言葉遣い・・・・・「させて頂きます」症候群

最近は、誰でも彼でも、何でもかんでも、「させて頂きます」と言う。

ひと頃は、問答無用的言い方の一つで、時には、ちょっと気に入っていた言葉だったのだが、
今では、慇懃無礼な言い方が主流になってうんざりしている。
特に記憶にあるのは、鳩山由紀夫議員が、初当選した当時のインタービューでテレビに出るたびに
やたらためっちゃか、「させて頂く」など連発していて、妙な違和感があったことを思い出す。 
もういい加減にして欲しい。